インターネット通信の基本的な仕組み

インターネット通信の仕組み

普段何気なく使っているインターネット。ブラウザから決まったURLにアクセスすれば、いつでも欲しい情報を簡単に手に入れることができます。

インターネットは、実際にはどのような仕組みで通信を行なっているのでしょうか。

今回は、これからネットワークの勉強をしたい方やホームページを作成したい方向けに、インターネット通信の基本的な仕組みについて説明します。

インターネットとは?

複数のコンピュータや情報機器を接続して、相互に情報をやりとりする仕組みのことを「コンピュータネットワーク」もしくは「ネットワーク」と呼びます。

インターネットとは、このコンピュターネットワーク(以降ネットワーク)を世界規模で相互接続した、とても大きなネットワークのことです。

インターネットは1990年代から一般社会にも普及し始めましたが、その歴史は意外に古く、通信の技術的な仕組みは、1970年代頃にアメリカで開発された「ARPANET(アーパネット)」というネットワークが起源になっていると言われています。

インターネット通信の基本的な仕組み

インターネット通信の仕組みについて見ていきます。

ネットワークの種類(LANとWAN)

インターネットは、世界中のネットワークを相互接続したものと説明しました。ネットワークは、その規模によって大きく2つの種類に分けられます。

LAN(Local Area Network)
家庭内や企業内など、同じ建物内のネットワーク。基本的にユーザー(LANを利用する人たち)自身が主体となって導入や運用を行なう。

WAN(Wide Area Network)
離れた建物間のネットワーク(LAN)を相互接続したネットワーク。通信事業者が提供するサービスを利用して、ルーターと呼ばれる機器でLAN同士を接続する。

インターネットも、ネットワーク同士を繋ぐという点で、広い意味ではWANの一つといえます。

インターネット通信の全体像を簡単に示すと下図のようになります。

家庭内や企業内のLANからインターネットに接続する仕組みは、主に回線事業者とISP(インターネットサービスプロバイダ)が提供しています。

ISPの主な役割は、IPアドレス(インターネット上の住所のようなもの)やメールアドレスの発行、セキュリティ対策の提供など、インターネットに接続するための各種サービスの提供です。インターネットを利用するための窓口のような存在と考えてください。インターネットを利用するには回線事業者とISP、両方との契約が必要です(事業者によっては両方を兼ねている場合もあります)。

回線事業者の例としてはフレッツ光やauひかり・J:COM、ISPの例としてはSo-net・@nifty・OCNなどが挙げられます。また、携帯電話やスマートフォンからもインターネットに接続することができるので、携帯電話会社も回線事業者およびISPの一つといえます。

図中にあるルーターやモデムは、どちらもインターネット接続に必要な機器です。それぞれ役割が異なり、ルーターは複数の機器からインターネットに接続するためのもの、モデムはデジタル信号とアナログ信号を相互変換するためのものです。

インターネット通信にモデムが必要な理由としては、パソコンが取り扱うデータはデジタル信号であるのに対し、電話線などのアナログ回線(ADSL)ではアナログ信号が使われるため、そのままではデータのやりとりができないからです。最近ではADSLより光回線が主流となっていますが、光回線の場合も、デジタル信号と光信号を変換するための機器が必要です。こちらはONU(Optical Network Unit:光回線終端装置)と呼ばれています。

このように、ルーターやモデムといった通信機器を利用して、ISPが提供するサービスで様々なネットワークを経由することで、インターネット上にあるホームページや動画を閲覧したり、Webメールの送受信などができるようになっています。

クライアントとサーバー

ネットワーク上の通信は「こういう情報が欲しい」と要求する側と、要求された情報を相手に返す側、双方のやりとりによって成り立っています。この時、要求する側を「クライアント」、要求される側を「サーバー」と呼びます。

インターネットには、メールサーバーやWebサーバーなど役割の異なるサーバーが接続されており、不特定多数のクライアントからの様々な要求に応答しています。ホームページを閲覧する場合を例にすると、Microsoft EdgeやChromeなどのWebブラウザを利用する端末がクライアントに該当します。

次に、インターネット通信における、データのやりとりの基本的な仕組みについて説明します。

インターネットの通信規格(TCP/IP)

世界中のネットワークを繋ぐためには、送受信側でデータの通信手段(手順や様式)を統一する必要がありますが、こうしたネットワーク上の通信手段の約束事を「プロトコル」と呼びます。インターネット通信で主に使用されているプロトコルとして、TCPやIPなどがあります。

TCP(Transmission Control Protocol)
信頼性の高い通信を行なうためのプロトコル。データをパケットという小さな単位に分割して送信する。

パケットごとに荷札に相当する情報(送受信先やデータの順番など)を設定することで、データの順序を保証したり、通信中に欠けてしまったデータの再送指示を行なう機能を持つ。

IP( Internet Protocol)
異なるネットワークを相互に接続するためのプロトコル。ネットワーク上の機器にIPアドレスと呼ばれる一意な番号を付与し、その値を用いて通信先を特定する。

郵便に例えるならば、IPは荷物の配送先や配送ルートを決める通路のようもの、TCPは荷物を正しく届ける配達員のようなものです。TCPとIPの組み合わせによって、データを正確に通信先まで届けることができています。

よくTCP/IPとひとまとめで表現されることが多いのですが、TCPとIPはそれぞれ別々のプロトコルを意味しているので、注意してください。

IPアドレスとドメイン

IPアドレスはネットワーク上の機器を一意に識別する番号です。ネットワーク上の住所のようなもので、基本的に「192.0.2.1」などのように英数字で構成されます。

ホームページのURLやメールアドレス(@以降の部分)など、利用者の目に見える形で通信先のサーバーが指定される場合、「192.0.2.1」などのように英数字の羅列では人間にとって分かりにくいため、IPアドレスに分かりやすい名前(ドメイン)を付けることがあります。URLの「http(s)://」の後ろにある「◯◯.com」「△△.jp」などがドメインです。

インターネット通信時にはドメインからIPアドレスへの変換が必要ですが、これはDNSと呼ばれる仕組みによって行なわれています。
※URLやDNSの仕組みについては、別途説明します。

ポート番号

インターネット通信においてもうひとつ重要なのが、ポート番号です。通信先のサーバー自体はIPアドレスにより特定できますが、通常、サーバー上では様々なソフトウェアが動作しているため、どのソフトウェアと通信するのかを指定する必要があります(ドメインは機器のIPアドレスと対応するものですので、サーバーの場所までは特定しますが、通信先のソフトの指定はできない認識です。)。この時、通信するソフトウェアをポート番号により指定します。

よく使われるポート番号はあらかじめ決められており、例えば、ホームページを閲覧するためのWebサーバに接続する場合は80番ポートを使用します。

ポート番号はURLに対して「http://ドメイン:80/…」という形で明示的に指定することも可能ですが、省略した場合は、Webブラウザが標準で80番ポートを使用する仕組みになっています。

ホームページが表示される仕組み

ホームページを閲覧する場合を例に、インターネット通信の仕組みをまとめると次のようになります。

要求:クライアント→サーバー

  1. ①WebブラウザにホームページのURLを入力する
  2. ②クライアントはDNSサーバーに問い合わせて、URLをIPアドレスに変換する
  3. ③該当するIPアドレスのWebサーバー(80番ポート)にアクセスする

応答:サーバー→クライアント

  1. ④サーバーは、要求されたデータをパケット単位に分割してクライアント宛に送る
  2. ⑤クライアントは、パケット単位で受け取ったデータを順番どおりに組み立てて、Webブラウザに表示する

このように、インターネット通信は、クライアントとサーバー間のやりとりを中心に、TCP/IPという通信プロトコルを用いた情報の受け渡しで成り立っています。